昨日というかそれは明日でもいいことなの、昨日あった。端的にいって…そういう感情が湧いたのだ。
感情?わたしはそれを記憶したかった。しかしなかなかできるものでもない。わたしは思い出したいがそれができない。
たとえばなんであろう。わたしは、そのときグレープフルーツジュースを飲んでいた。グレープフルーツジュースは、わたしは好きじゃない。でも、喫茶店ではなにかを頼まなくちゃいけない。
「ケーキなんかどう?チョコレート好きじゃん?」
とわたしの彼女はいっていた。彼女は、服を着ていた。いや、やけに着ていたのだ。鬱陶しいくらい。わたしは、それを剥ぎ取る作業を手伝った。実際、汗がびしょびしょ、それくらいすごいのだ。
「いいけど。アップルジュースないじゃん。ここ。グレープフルーツにするわ」
といった。彼女は、チーズケーキ。わたしはチョコレートケーキ。
それでまあ、よいのだろう。わたしは、ある種、そのとき、典型的な彼女と彼氏だったのだろう…。ということは?凋落が近い?のだろうか。
わたしは、その感情を、持った。そして、とめどない不安だった。歓喜のなかでの不安。つまり、もうこれ以上、のぼりじょうしにはなれないという不安が、わたしを狂わせた、なんてことはなく、しっかし帰ってもそればかり考えているのだ。
わたしは彼女にラインした。
「なにかね、ハイデガー的な意味で、対象なき意味で、不安です」
と。その彼女というのは、男になることだってできる。それは本当なのだ。女たちは、簡単に、わたしたちになることができる。
「はあ、そうなのね。そうなのね。まあじゃあ。あなた、わたしに、なにか話しなさいよ。嘘でもいいから。それを理由にしましょうよ」
「はい。わたしは思います。あなたと別れるのが不安です」
「じゃあそれを理由にしなさいよ。そうすりゃいいじゃない。というか、こんな、無意識みたいな仕事をわたしに押し付けないで?」
「でもあなたは彼女だろうおお!」
「そうだよおおお!